弘前市におけるSDGsとりんご産業の未来
青森県弘前市は、長年にわたり日本を代表するりんご産地として知られてきました。しかし、近年の温暖化の影響により、この伝統ある産業が新たな課題に直面しています。
本記事では、弘前市がこれらの環境課題にどのように立ち向かい、持続可能なりんご産業を目指しているのかを紹介します。
内閣府から選定されたSDGsへの取り組み
弘前市は令和5年5月に内閣府による「SDGs未来都市」および「自治体SDGsモデル事業」にダブルで選定される栄誉を受けました。
「SDGs未来都市」は青森県内で初、「自治体SDGsモデル事業」も北東北の3県で初めての選定です。提案内容は「りんご産業に焦点を当てたSDGsで切り開く持続可能な『日本一のりんご産地』の実現」。この取り組みの一環として、弘前市は手軽に始められるSDGsとして無煙炭化器に注目しその導入を決定しました。
当社は弘前市からのお問い合わせを受けてりんご課の職員と打合せを行いました。打合せを通じて、製品がシンプルすぎて不安に思う人のために、実際に炭が作れる所を見てもらえるよう地元農家向けの実演会を開催することになりました。
温暖化の影響とりんご産業の挑戦
近年、りんご栽培は、着色不良や日焼け、早まる開花時期による霜害リスク増加など、避けられない温暖化の影響に直面しています。これらの問題は、将来にわたる高品質なりんご栽培の安定化を脅かしており、温暖化の進行を防ぐための取り組みが急務となっています。
弘前市は、この環境問題に積極的に取り組み、りんご産業の持続可能性を高める方策を模索していました。
無煙炭化器を使った炭素貯留
この取り組みの一環として、市はりんご剪定枝の炭化によって大気中の二酸化炭素放出量を減らすことができる「無煙炭化器」の実演会を開催しました。
無煙炭化器は剪定枝を燃焼させて簡単に大量の炭を作り出す事ができます。元々、剪定枝は光合成により多くの炭素を貯留しており、そのまま燃焼して灰にしてしまうと酸素と反応し二酸化炭素として大気へ排出してしまいます。しかし炭は文字通り炭素を閉じ込められるため、できた炭を畑に撒く事で二酸化炭素の大気への排出を抑えることができるのです。
実演会の会場は弘前市の観光スポット「弘前市りんご公園」
実演会の舞台となったのは、弘前市りんご公園です。この公園では、市の職員が愛情を込めて多くのりんごの品種を栽培しています。
残念ながら時期的に収穫は終わっていましたが、公園内ではりんごの木々を見ながらの散歩ができたり、りんご公園で収穫された新鮮なりんごをお土産として購入することができます。
無煙炭化器の実演会
実演会には地元のりんご農家さんが40名ほど参加しました。
参加者からは無煙炭化器の使用方法や効果について多くの意見や質問が寄せられました。特に環境対策への意見が多く、自分たちがりんご農家を継続するために、少しでも環境に配慮したいという貴重な意見をいただきました。
地元の農家さんが持続可能な農業に真剣に取り組む姿勢を見ることができ、無煙炭化器を紹介できた事を大変うれしく思いました。また、多くのメディア関係者にもご参加をいただき、弘前市の取り組みの注目度の高さを実感しました。
農家にとっての経済的利益
無煙炭化器を使用することは二酸化炭素の排出を抑えるだけではありません。
農家は高騰する肥料の代わりに自家製の炭を利用することができるのです。炭を土壌に撒くことは土壌の質を向上させ、りんごの生育環境を改善できると言われています。
温暖化防止によるりんご産業の復活
昨今、温暖化の影響でりんごの生産量が落ちている中、無煙炭化器の使用は、二酸化炭素の排出を抑制することができ温暖化防止に貢献します。
これにより温暖化により苦境に立たされているりんご産業は復活できるのではないかと弘前市も期待をしています。
無煙炭化器の普及は弘前市のりんご産業にとって希望の光をもたらすかもしれません。
環境にやさしい農業の未来
環境にやさしい農業の方法や技術の導入は、温暖化という共通の課題に直面する多くの地域にとって新しい道を開くと考えています。
弘前市の取り組みから学び、他の自治体も自分たちの地域に合った環境対策を考えるきっかけにしていただければ幸いです。
弘前市の無煙炭化器レンタル情報
弘前市は無煙炭化器の普及を目指し、現在無煙炭化器の無償レンタルを実施しています。
詳細については、以下のリンクをご参照ください。
今回は弘前市の持続可能なりんご産業の取り組みをご紹介しました。
無煙炭化器のお問い合わせは当社お問い合わせフォームにて受け付けております。
(記事執筆:営業部 坂本)